1. Home
  2. »
  3. 保護中: お客様の声
  4. »
  5. ユーザーインタビュー①

USER INTERVIEW 検査のデジタル化・自動化で 「攻め」のリスク予防体制を構築

労働力の減少と人手不足、コロナウィルスの流行と人々の生活変容など、次々と食品事業者様を取り巻く環境に変化が生じています。

不安定な事業環境でも継続的に成長するためにデジタル化や自動化の推進は必須と言われていますが、どこから取り組むべきか悩まれる方も多いのではないでしょうか。

本セミナーでは、検査業務のデジタル化・自動化に取り組まれ効率化と迅速化を実現された株式会社食研 土屋様にその方法と効果についてのご経験を、また監査業務に従事され食品事業者様の現場にも精通されている一般社団法人日本食品検査 廣田様に検査データの一元管理の有用性についてお話しいただきました。

検査業務の属人化・試験結果のばらつきが課題

稟議の際にはメリットを数量化し提案

――株式会社食研様には、2020 年1 月よりペトリフィルム™ プレートリーダーを導入していただきました。そのきっかけは、ISO22000 の認証取得だったそうですね。

認証取得の準備をきっかけに各種の検査を見直し、検査数が増加しました。さらに同時期に製造量や品目、細菌検査の数も増えました。検査日数が多くなり、検査員が土日出勤や残業で対応する状況になっていました。

超過勤務の背景には、検査数の増加以外の要因もありました。検査数の増加と同時に担当者が異動になり、新人教育をしながら業務対応をしていたのです。当時の検査業務はかなり属人化しており、担当者の異動前よりも一層時間がかかってしまう環境でした。担当者は2 名。培地の目視判定では、コロニーのカウントのばらつきを防ぐため、2 回判定を実施するなど手間がかかっていました。そのため、省力化を可能にし、試験結果のばらつきを防ぐ自動化機器には、とても期待をしていました。

使ってみると、数秒でコロニー数を読み取り、簡単に検査結果をエクセルシートに転記できる点には大変惹かれましたね。作業時間の短縮や転記ミスの防止にもつながると考えました。

――プレートリーダーの導入案は経営層からも好評だったと伺いました。品質管理に通じていない方もいらっしゃるなか、どのような点が評価されたのでしょうか。

経営陣への稟議の際には、メリットを数量化して提案しました(図1 参照)。当社では伝達の際に数量を明確にして伝えることが重視されています。結果的に、訴求したポイントはすべて経営陣の課題とも合致していたようです。検査や記録における様々な点が改善できるので、多くのポイントを訴えることができ、場を前向きな雰囲気にすることができました。「やらない手はない」という反応でしたね。判定の精度については、目視カウントとプレートリーダーのカウントの相関を確認していきました。検証の際には、実際の業務担当者に導入の背景と導入後のイメージをしっかり説明し、懸念についても良くヒアリングして臨みました。そのうえで、具体的な作業を割り振り、実務フローのなかで問題が起こりそうにないかを担当者自身に確認しています。

その結果、検査の現場では、目視判定が不要になったことが特に喜ばれました。コロニーの数が増えた場合の正確なカウントへのプレッシャーは経験者なら皆理解できるのではないでしょうか。その懸念がなくなったことで「とても負担が減った」と言われました。

属人化を解消しデータ活用で傾向把握を実現

――ペトリフィルム™ プレートリーダーの導入後、半年の微生物検査の研修期間が3 か月ほどに短縮できたそうですね。

属人化を解消する点で思った以上の効果がありました。人手不足に対応するため、担当者を多能工化し柔軟にシフト編成を組む案は以前からありました。ただ、複数の技能を得ることは容易ではありません。導入後は、研修期間の短縮化で複数の人員が検査に関わるようになり、個人の手技に
依存したマニュアルが作られる心配もなくなりました。現在は複数の人間でマニュアルを検証し、改善をする良い循環が生まれています。

また、微生物検査の結果を蓄積したデータは、製品ごとにソートをかけて時系列でデータを比較(図2 参照)しています。日々の検査結果の値を履歴と照合し、結果の正当性を確認したり、傾向を把握したりできるようになりました。

リスク管理体制強化に向けた更なるデジタル化・自動化

――残った紙の作業もすべてデータ化のご予定だそうですね。

作業時間短縮のため、検査計画のノートなどもすべてエクセル帳票化し一括運用したいです。判定はすべてを機械化できていないので、今後は判定から記録まで、加えて、グラフ化や管理図の作成なども、すべて自動化できればと考えています。その結果、担当者は課題の抽出など、検査本来の目的である製造の安定化に資する作業に時間を割くようにしたいです。

――効率化により生まれた時間は、どういった業務に活かされていくご予定ですか。

今後は調達先をも巻き込んだ「攻め」のリスク管理体制を構築していきたいと考えています。食材の調達先には検査室を持っていない事業者も多くいます。工場に伺った際に、前年の検査結果の推移や改善の結果のフィードバックを行い、改善が見られた場合は、数値を示して感謝を伝えることも大切だと思っています。

――今後も検査数の増加が予測されると伺いましたが、どう対処されるのですか?

部署の人数を増やさずに検査日数を増やすことにチャレンジします。現時点でも、検査室が週5 日稼働であるのに対し製造自体は毎日行っているため、曜日によって繁忙に偏りがあります。これから更に検体数が増え負担のばらつきが生まれる
ことを見越して、工程の自動化と標準化を進めて週6 日検査を実施できる体制を整えたいですね。

また、検査結果のデジタル化を通じて履歴の傾向把握と分析を実施し、異常発生前に重点箇所の入念な清掃を行うなど、検体数を減少・標準化させる本質的な品質管理業務につなげたいと考えています。これは私一人で取り組んでも意味がありません。部署全体で取り組んでいくつもりです。

ペトリフィルム™ プレートリーダー 導入後の変化

迅速化

● 検査結果待ちの出荷遅延0に(導入前は21件/年)
● 週の検査日1日増。休日出勤・外部検査依頼の減少
● 急な検査依頼にも対応が可能に

多能工化

● 検体数が増えても検査員の増員が不要に
● 判定のための新人教育期間は半年から
      約3か月に短縮
● 力量評価項目も削減。多能工推進期間が短縮
● 判定能力の属人化を防ぎ、マニュアルの
      改善を可能に

データベース化

● 測定結果の転記が不要に。自動入力された
     データをMicrosoft® Excelの関数やマクロ
     機能で分析したうえで日報として出力可能に
● 検査結果をデータベース化。傾向の把握
      や分析、検査結果の検索が可能に

結果の読み取り後、すぐにカウントは完了。検査結果のデータベースを見直して傾向分析を実施しています。ISO22000 の監査の際も、改善活動の仕組み作りが評価されました。

COLUMN

検査データの一元管理で一歩進んだ品質管理を

一般財団法人日本食品検査
廣田雅光 様

求められる「信頼性の高い」検査データ

食品メーカーで品質管理を実施する場合、近年は取引先などから試験結果の信頼性が高いことを求められます。「信頼性の高いデータ」があれば、食品の安全性や品質の適切な評価、原材料や製品、製造現場の衛生状態の把握、品質改善や問題解決に利用できます。また、対外的な納得を得るだけでなく、製品や製造工程の改善のためのフィードバックにも活用できます。信頼性を保証する仕組みのうち、特に重要なのは「妥当性確認された試験法の採用」と「試験が正しく行われたことを示す記録」でしょう。

一点目の妥当性確認とは、その試験法が試験の目的に対する要求事項を満たすことが確認されていて、それを示す客観的な証拠があることを指します。「迅速簡便法」の中にも、国際的な標準と同等の結果が得られることが証明されている試験法があり、例えば、プレートリーダーに読み込む「ペトリフィルム™ 」は FDA BAM 法に対して妥当性確認されており、FDA BAM 法はISO 法及びNIHSJ 法(標準試験法)と同等性があると言えます。新たな試験法の導入を検討する場合は、妥当性確認された試験法が製造製品を対象としているかを確認するところからはじめるといいでしょう。その試験法が迅速簡便法であってもまったく問題ありません。

また、検査結果の信頼性を保証するためには技術的な記録を行うことも合わせて重要です。試験条件や得たデータ、データに基づき決定した結果を記録する必要があります。この記録には「反復性」と「遡及性」の2 点が求められます。「反復性」を満たすには、再試験の際にできる限り近い条件で実施できるよう、結果に影響を表すパラメータをすべて記録する必要があります。

「遡及性」を満たすには、すべての工程で正しく検査が実施されたことを試験結果から遡るための記録が必要です。作業や試薬、準備機器の使用など、すべての記録は試験結果に紐づけられねばなりません。

自社の基準を超える結果が複数出た場合、残しておいた記録をもとにした検証が求められます。しかし、その場合に備えて日常の衛生管理の記録をすべて遡ることが可能な状態に整えようとすると非常に手間がかかります。迅速簡便法を用いることで工程の記録を簡潔にし、負担を減らすことも一つの手でしょう。

品質管理体制強化のためにデータの一元管理・分析を

また、微生物試験で得られたデータや検査の記録は、品質管理の改善に活用できます。検査結果を確認するだけではトラブルの原因が特定できないような場合でも、さまざまなデータを組み合わせることで問題を解決できることもあります。

微生物試験のデータを集めるときには、経時的な変化や傾向が分かるよう十分な頻度で行い、製品だけでなく環境・設備・器具の衛生状態の比較を行いましょう。環境モニタリングのデータや原材料のロットとの相関を確認することも必要です。

これらのデータを一元管理すれば、顧客や行政の監査への対応だけでなく、平時の傾向分析が容易になるでしょう。データは膨大になりますので、記録抜けの不備をなくし、手間を省くためにも工程の自動化を進めてもよいでしょう。

このデータをもとに、衛生状態の傾向分析や予防措置などを調達・製造部門、社外の原料供給者と情報共有し、さらに進んだ品質管理体制を構築していくことが重要です。

ペトリフィルム™
プレートリーダー アドバンスト


検査業務の効率化を実現します

コロニーを自動でカウント、結果を自動で判定できるため、
検査業務の標準化・効率化に繋がります。

特徴

生産性

検査業務の効率化を実現します。 1 枚あたり6 秒以内に計測結果 が得られます。

正確性

プレートを差し込むだけで 自動的にコロニーがカウント されるため、
人為的なミス の防止に繋がり、一貫性の ある結果が得られます。

データ活用

測定結果はソフトウェア内に 自動保存され、報告書の作成、 傾向分析などに活用ができます。

操作の流れ

検体名ID の入力、プレートの種類と希釈倍率の 選択をパソコン上で行います。プレートを
挿入 することで自動でコロニーをカウントします。

カウントしたコロニーに印が付き、コロニー数 が表示されます。必要に応じて修正が可能です。 データと画像は自動保存されます。

検体名ID の入力、プレートの種類と希釈倍率の 選択をパソコン上で行います。プレートを
挿入 することで自動でコロニーをカウントします。

主要検査菌種のプレートに対応