微生物検査部門は検査結果の信頼性確保を前提の上で、日々変化する市場ニーズを的確に捉え、いかに会社の利益追求に貢献するかを期待されています。一方でその体制を実現するためには、残業が発生したり、検査室メンバーの人材開発等の検査以外の取り組みに時間が割けないなど、働く環境づくりに苦慮されることも多いのではないでしょうか。
今回は病原菌検査において、新たに測定機器を導入することで両立の難しい「より会社に貢献できる検査体制」と「働きやすい環境」の構築を実現されている一般財団法人 東京顕微鏡院の宮田様、森様に取り組みの背景や経緯をお伺いしました。
会社紹介
一般財団法人 東京顕微鏡院は明治24(1891)年に創設された受託検査機関です。現在は食品衛生法や水道法による厚生労働大臣登録検査機関、登録衛生検査所として、食品と環境の安全性に関する検査事業と公益事業を展開しています。
導入に至るまでの検討の過程や、現場・経営それぞれの視点での考え方をインタビュー形式でご紹介しています。
導入に至るまでの検討の過程や、現場・経営それぞれの視点での考え方をインタビュー形式でご紹介しています。
現場管理者の視点から
森哲也 様(博士/生物環境調節学)
一般財団法人 東京顕微鏡院
食と環境の科学センター 微生物部 技術専門科長
いかに収益への貢献と働きやすい環境づくりを両立するか
検査室運営において特に大切にしていること
当社の業務は、ご依頼いただくお客様がいて初めて成り立つ仕事です。何よりも会社として信頼していただけるよう検査部門としてはもちろん、検査室の一人ひとりが「信頼性のある、高い精度の検査結果を提供すること」を大切にしています。そのうえで私の立場としては、日々変化する市場ニーズを迅速に掴み、お客様の期待に応えるサービスを新たに提供していくことで収益を生み出し、いかに経営強化や会社貢献につなげていくかについても常に意識しています。
一方で、検査室や働くメンバーに負荷がかかりすぎない環境や仕組みづくりも常に意識する必要があります。市場ニーズや変化をしっかり捉えそれらに応えられる体制を構築しながら、検査室メンバーが働きやすい環境づくりをすることもまた、非常に大切であると考えています。
興味を持ったきっかけは厚生労働省の事務連絡と検疫所での採用
病原菌自動検出システムを知ったきっかけ
当社が測定機器として病原菌自動検出システム(以下、MDS)を導入したきっかけは、平成26年のリステリア・モノサイトゲネスの試験法改正と成分規格値が設定されたことにより、検査工程が複雑化したことでした。また、お客様の多くはより早い結果報告を求められており、当社としてもそのご要望に応えたいという気持ちがありました。しかしながら、それを実現するためにはどうしても採取当日中に検査を開始する必要があり、恒常的に残業が発生するなど検査室メンバーへの今まで以上の負荷がかかってしまっている状況に課題も感じていました。
そのような状況の中で、平成28年に厚生労働省から出された事務連絡※において、簡易測定装置(キット)としてMDSの採用が通知されたこと、その後、実際に成田空港・関西国際空港の検疫所でMDSが導入されたことを知り興味を持ちました。
※厚生労働省事務連絡(平成28年10月7日)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000139284.pdf

病原菌自動検出システム(MDS)
- カタログ製品番号
- MDS100JPS
MDSについて特に興味を持った点
事務連絡に示されていたように、簡易測定装置を使用することで定性判定の陰性判定が26時間で得られるという点や、複雑な検査工程を簡略化できる点において、「迅速な結果報告」と「検査室メンバーの負荷軽減」の両立ができそうだと思い、興味を持ちました。
加えて、MDSは各種ラインナップにおいてAOAC OMAなどの国際的な第三者認証を取得しており、対外的な信頼を示すことができる点も魅力的でした。当社は登録検査機関として、輸入食品の検査も行っているため、場合によっては輸出元の国や業者から検査方法や結果について問い合わせを受けることがあります。国際的な第三者認証を取得しているMDSであれば、国内外問わず正確性を担保することができるので、会社として最も大切にしている「信頼性のある、高い精度の検査結果を提供すること」にも貢献できると考えました。
社内外の総合的な評価を踏まえ、導入を判断
導入前検証で行ったこと
すでに検疫所の輸入食品のモニタリング検査において、様々な検体や菌種において使用されているという情報もあったため、性能について大きな不安はなかったのですが、外部情報だけに頼らず自社で導入前検証をしっかりと行い、導入判断を進めることにしました。
自社検証では自然汚染検体での検証試験や菌添加試験を行い、それぞれ従来実施していた培養法と比較した結果、共に良好な結果を得ることができました。またこれに加え検証結果については、社内で評価するだけではなく客観的な意見を得られるよう学会等でも発表しました。社内外の総合的な評価を踏まえ、最終的に陰性結果の場合においてMDSを用いた方法への切り替えは問題ないと判断しました。
「一組織として会社に貢献すること」と「働きやすい職場環境」の両立を実現
MDSを導入したことで検査室運営で得られた効果
実際に得られた効果としては、作業が単純化され、日々の業務負荷の軽減(特に残業負担の軽減)が実現できたことが大きかったです。当社の微生物検査室は土日祝も稼働しており、以前は土日に2~3人出勤していた時もあったのですが、現在は1人体制かつ日曜は半日出勤で対応できる体制に変えることができました。また測定機器を導入したことで複雑な検査工程を簡略化することができたので、出勤人数を減らしても検査業務をこなせるようになりました。それにより例えば土曜から増菌培養を開始し翌月曜に測定するというような効率的な検査スケジュールの運用も実現することができました。
検査部門として、会社への貢献という観点で得られた効果
市場ニーズに合致する検査体制を構築したことで会社に対して利益や経営強化の面で貢献できたことは、MDS導入による非常に大きな効果と考えています。信頼性の高い結果を確保しながら、お客様により迅速に結果を提供できる体制を構築できたことで、会社の一組織である検査部門として「お客様の検査に関するパートナーとしての当社の価値」を向上させることができたと自負しています。
また、規格基準が設けられている生ハムやナチュラルチーズ以外にも、サーモンやカットレタスなど多岐にわたる品目にも対象を拡大することも実現できました。リステリアの検査は海外では大きな関心事であり、AOAC法であるMDS法は年々増えている輸出検査においても活用することができます。このような点でも、会社の期待に検査部門として応えられたのではと考えています。
次なる目標は人材開発と組織のパワーアップ
今後検査部門として取り組んでいきたいこと
今回MDSを導入したことで、リステリア・モノサイトゲネス検査の迅速な結果報告体制を構築しながら、日々の業務負荷を軽減できる働きやすい環境の整備も実現することができました。今後はそうして生み出された新たな時間を有効活用し、検査室メンバーに日々のルーチン業務だけでなく、様々な経験ができるような機会を提供していきたいと考えています。各々がスキルを活かしながら新たな経験を積み、組織としてパワーアップしていくことで、検査室として他にない価値を提供できるようになるのではと思っています。そのような取り組みが新たな刺激に繋がり、結果として人材開発という部分でも会社に貢献できるのではと考えています。
また、今後もさらにお客様や会社からの期待に応えるための手段を追求していきたいと考えています。食品微生物の検査法は、従来からの公定法が重視される傾向が強く、なかなか新しい方法の導入に踏み切れない場合も多くありました。そういう意味では、我々にとってMDSの導入は、旧来の考え方から「社内・社外の評価を基に、『良い』と判断した手法は積極的に活用していく」という考え方に変わっていくきっかけを作ったと思います。今後も、お客様の期待に応え続け、かつ会社への貢献につながる検査法を追求していきながら、業界全体への貢献も果たしていきたいと考えています。
経営の視点から
宮田昌弘 様
一般財団法人 東京顕微鏡院
食と環境の科学センター 所長 理事
顧客の信頼を維持するための体制整備にMDSが貢献
最も大切にしていることは「信頼」です。一方で、会社全体を見る立場上、利益を追求するあまり業務過多になりすぎないような環境づくりも重要だと考えています。もちろん会社として常に利益は追求していかなければならないですが、そのために無理をし、「信頼」の部分が揺らぐような状況にならないよう気を配っています。例えば、業務過多によって残業が増えることで、集中力を欠いて検査結果がぶれてしまうなど、結果として会社の「信頼」を損なってしまうリスクがあります。そのため検査部門には、高い検査精度、高い信頼の維持と共に、業務過多になりすぎない環境づくりを心がけてもらいながら、会社として売上や利益も上げていける体制や仕組みづくりを求めています。
国際的な第三者認証に裏付けられた信頼性を評価
業務過多になりすぎない環境と利益を上げていける体制両立における具体的な導入効果
具体的には、検査時間の短縮やそれによる担当者の負荷軽減などでMDSの導入効果を感じていました。また、先ほど述べたような信頼ある結果を維持や業務過多にならない環境づくりを実現しながら、「より早く結果報告を出してほしい」というお客様のニーズに応えられる体制を整えられた点でも効果を感じています。また、ニーズを的確に捉え迅速に応えられたことは、我々の強みとして他社との差別化にも繋げられたのではと考えています。
その他魅力的に感じたこととしては、AOAC OMAのような国際的な第三者認証を取得している点も非常に良かったです。既に第三者認証機関において様々な妥当性確認試験が行われているため、客観的なデータをベースに検査結果の信頼性を担保できる点はとても魅力的でした。当社は登録検査機関として輸入食品の検査も行っているため、日本だけでなく海外でも通用する検査法を採用することで、国内外問わず広く対外的に信頼性を示すことができるという点も良かったです。
総じて、MDSを導入することで社内におけるメリットはもちろんのこと、登録検査機関としてお客様から信頼・信用していただくという点でも良い効果を生み出せたのではないかと考えています。
時代のニーズを捉え、絶えず積極的に挑戦していく
測定機器導入の最終判断で重要視していること
一番は時代のニーズに乗り遅れないようにすること、そして会社として大切にしている「信頼」を担保できるかという点です。ただし、次々新しいものを取り入れていくのではなく費用対効果や必要性を加味しながら、「今必要か、今導入すべきか」について総合的に判断して決断しています。また誰が作業しても同じ結果が出せることも重要なポイントであると考えています。対外的な使用実績などの情報も活用しながら、高い精度や信頼を担保できるか十分に考慮した上で、それを満たすものは積極的に取り入れていくようにしています。
今後会社として進めていきたいこと
これからも今までやっていないからと躊躇するのではなく、常に世の中の動きをチェックしながら、お客様のニーズに応えられるよう絶えず新しいことを会社としてチャレンジしていきたいと考えています。また積極的な挑戦と共に、大切にしている信頼を維持し続けるために、引き続き安定したクオリティを提供できる組織体制の構築にもしっかりと注力していきたいと思っています。信頼ある結果を担保しながらより早く検査結果を出せる体制は、付加価値として自社の強みになると考えています。これからもこのような取り組みを会社としても進めていき、お客様により良いサービスを提供し続けながら、さらに会社全体でパワーアップしていきたいと考えています。
働きやすい検査体制を実現した導入事例を動画で詳しく見る
測定機器の活用による検査負担の軽減で、会社への貢献と働きやすい環境づくりを実現
動画では、こちらのページでご紹介している内容に加え、背景や検討の過程について、より詳しくお話しいただいています。
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